- コラム
こんにちは!
モリエコ事務スタッフのことりです。
10月16日は「世界食糧デー」です。
1945年10月16日の国際連合食糧農業機関 (FAO) の設立を記念し、1981年に制定されました。
9人に1人が食糧難で苦しんでいる食糧不足や栄養失調、飢餓の問題は遠い国の話ではありません。
私たちの生活にも密接に関係しています。
今回は「世界食糧デー」について、世界中の食糧の問題について考えていきたいと思います。
「世界食料デー」は、1979年11月の第20回FAO総会において、FAO加盟国により創設されました。
ハンガリー代表団が、自国の元農業食料大臣だったパル・ロマニー博士を率いてこの20回FAO総会で積極的な役割を果たしました。
以来、毎年150ヶ国以上で、貧困や飢餓の背景にある問題への意識を高める活動が行われています。
1981年以降、「世界食糧デー」はそれぞれ行動が必要とされる分野に焦点を当てて、毎年違うテーマを採用しています。
「農業への投資やそれに伴う教育と保健への支援だけが、現状を変えうるものである」、としてテーマの多くは農業関連のものとなっています。
その投資の大部分は民間部門から来るものでなくてはならず、特に民間による投資を促進し刺激するという観点から、公共投資が重要な役割を果たすことになっています。
しかし多くの途上国経済における原動力として農業は重要であるにもかかわらず、農業分野への援助は過去20年間で著しく減少傾向を示しています。
制定された1981年は「食糧は最初に必要な物」
1991年は「生命にとっての森林」
2001年は貧困削減のため飢餓と戦う」
2011年は「食糧価格-危機から安定まで」
2021年は「健康的な明日のため、いま安全な食糧を」
このテーマをもとに「世界食糧デー」に150ヶ国以上でイベントが実施されています。
また2018年のテーマは「2030年までに飢餓のない世界は達成できる」、これは国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標ともつながっています。
安全で栄養のあるものを十分に食べることや、たくさんの人たちの手を経て届いた物をおいしくいただくことは、世界中どこに住んでいても、誰にとっても大切です。
しかし、それが実現できていない背景にはどのような問題があるのでしょうか。
国連食糧農業機関(FAO)Crop Prospects and Food Situation
上記の国連食糧農業機関のHPを参考に書いています。
詳しくは上記URLから見ることができます。
世界の穀物生産量は28億トン以上。
在庫もあるので、今、世界ではすべての人が十分に食べられるだけの食料は生産されていると言われています。
それにもかかわらず、世界では約7億3500万人、11人に1人が慢性的な栄養不足です。
長期的に見ると2005年の14.5%から徐々に減少していますが、2016年からは増加傾向になっています。
さらにコロナ禍によって2019年と比べて1億人以上増加しています。
地域別に見ると、人数ではアジアが最大4億3100万人と一番多く、人口に占める割合ではアフリカが最大20.5%と深刻な問題です。
極度の貧困のなかで生きる人たちの約8割が農村部に暮らしています。
その多くは農業で生計を立てていますが、農作物を栽培できる時期が雨季の数ヵ月に限られていたり、雨水などの自然に頼った農業を行っていたりしています。
そのため、雨の降る時期が遅れる、日照りが続くなど天候が不順になると、食料の生産に影響してしまいます。
また、安定した収入も得られなくなるため、病院へ行けなくなる、子どもを学校へ行かせることをあきらめるなど、生活全般にも影響します。
国内で不足している、あるいは調達できない食料を輸入に頼っている国では、国際市場での食料価格の変化に食生活が左右されてしまいます。
また、経済的に貧しい人たちほど、生活費に占める食費の割合が高い傾向にあるため、食べ物の値段が上がったり、収入が十分に得られなかったりすると、食事の回数や量を減らす、品数や使用する食材を減らす、安く手に入る栄養の偏った食事で空腹をしのぐなど、生きるために必要な「食べること」に大きく影響してしまいます
例えば2022年以降、穀物輸出国であるウクライナ・ロシアでの戦争により貿易が難しくなり、主要な食料(穀物、食肉、砂糖、乳製品、油糧種子)の国際価格の高騰が続いています。
気候変動や新型コロナウイルス感染症によりすでに上昇していた食料価格のさらなる高騰は、支出における食費の割合が高い貧しい人々の生活に重くのしかかっています。
一方で、世界の穀物生産量は年々増加する傾向にあります。
世界経済の中で、「食べ物は十分につくられているのに食べられない人がいる」という矛盾が大きくなっています
世界では毎年、食用に生産されている食料の3分の1にあたる13億トンが捨てられています。
日本のような先進国では、「食べ残し」や「賞味期限切れ」など消費段階で捨てられる食べ物が多いです。
一方で、開発途上国では、同じ時期に農作物がたくさん収穫できても「適切に保管できない」「加工するための技術が十分にない」「適切に運ぶための手段やガソリンを買うお金がない」などの理由で、必要な人に届く前にムダになっています。
本当であれば食べられるはずだったにも関わらず、捨てられてしまう食べ物=フードロス。
FAOの報告書によると、フードロスが与える影響のひとつとして地球環境への負荷が上げられています。
世界の温室効果ガス排出量の8~10%が、フードロスによって排出されていると言われています。
気温の上昇や雨の降り方などの気候の変化、干ばつや洪水などの異常気象によって食べ物を作る環境が厳しくなるなか、その影響を大きく受けるのは、アジアやアフリカなどの最貧国に住む小規模な農家です。
また、食料を生産するには水や土地などの資源がたくさん必要なため、食べ物を捨てるということは地球上の限られた資源もムダにすることになります。
世界で利用されている水のうち農業に使われているのは約70%。
たとえば、ハンバーガー1個(牛肉113g)を作るためには1,695リットル=500mlのペットボトル3,390本分の水が必要です。
捨てられてしまう食料を生産するために、世界の農地の30%近くが使われているという報告もあります。
日本の食料自給率は38%。
6割の食料を海外からの輸入に頼っています。
先進国の場合、国民が食べることに困らないように十分な食料を自分の国で生産し、さらには輸出をしている国が多いなかで、とてもめずらしいことです。
それにも関わらず、日本では、食べ残しや賞味期限切れなど、まだ食べられるはずの食料が年間523万トンも捨てられています。
そのうちの279万トンは事業者から、244万トンは家庭から出ています。
政府は食品ロスを2030年度までに2000年度比で半減させることを目標としていますが、食品ロス量は前年より微増しており、目標は依然として遠くなっています。
まだ食べられる食べ物をたくさん捨てている日本でも、約2000万人の人たちが貧困ライン以下(全人口の中央値の半分に満たない所得)で生活していて、なかでもひとり親世帯や高齢者の割合が高いです。
生きるために最低限必要な食べることさえも十分ではない人たちがいることは、世界も日本も同じです。
国際社会は、持続可能な開発目標(SDGs)の中で2030年までに「飢餓をゼロに」することを約束しています。
「食べる幸せ」をみんなで分かち合える世界にするために、必要なのは私たち一人ひとりの行動です。
できることからひとつずつモリエコでも行っていければと思います。